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自作の倉庫管理システムでは限界がある

WMSを導入する際には、いくつかの重要な点に注意する必要があります。適切な事前準備や確認を行うことで、スムーズな導入が可能になります。

自作のデメリット

自作する場合、エクセルが選択肢に入るでしょう。ただし、エクセルで在庫管理システムを自作することには、多くのデメリットがあります。

エクセルだと保存量が限られる

在庫管理システムとしてデータを蓄積するのであれば、データは一元管理されているべきです。

しかし、1シートに保存できるデータには上限があります。行数にすると1,048,576行で、それ以上は保存できません。もしエクセル2003以下で作成する場合は65,536行と、更に少なくなります。 保存できる行数の上限に達してしまうと、別のシートに保存しなければなりません。

シートが分かれているのでは、データが一元管理されている状態とは言えないでしょう。

また、関数やマクロの内容もそのままでは使えない可能性があるため、1シートに保存できる行数の上限が事実上の限界と言えます。

リアルタイムの更新が難しい

エクセルでは、同じファイルを複数の担当者が同時に更新できません。

そのため、在庫データをリアルタイムで反映させるのが困難です。ファイルを共有設定すれば同時に更新できなくはないのですが、共有設定にすると制限される機能が出てきます。機能が制限されることで、不便に感じる方もいるでしょう。

また、複数人で同時編集していると下記のようなリスクも出てきます。

複数の拠点で利用する場合では、そもそも同じファイルを同時編集するのが難しいでしょう。

在庫データがリアルタイムに更新できないと、受注時に在庫を照会して引き当てる業務が実行できません。

そうなると、業務の効率は著しく低下してしまいます。

不可が高いと処理が遅くなってしまう

そもそもエクセルは、在庫管理専用のデータベースシステムではありません。

通常の利用時でも早いわけではないうえ、データの増加や作業者の増加で負荷が高くなれば、さらに処理が遅くなります。

また、大量のデータに対して関数を埋め込むと、何か操作をするたびに関数が再計算されます。

そのため、データの更新に非常に時間がかかってしまうでしょう。

エクセルを在庫管理に利用するなら

といった点に注意して、操作しやすい状態で使い続けるのが良いでしょう

もし上記に当てはまるような仕様にしてしまった場合、処理が重くなり効率が一気に低下するかもしれません。

複雑化するとメンテナンスも難しくなる

エクセルを利用した在庫管理システムは、手早く自作できて運用しながら手軽に修正できるのがメリットです。

しかし、手軽に修正できるために突貫工事でどんどん改修されていくケースが発生するかもしれません。はじめから一貫した設計の考え方のもとに改修されていれば、問題ないでしょう。その場の思いつきで手軽に修正を重ねてしまえば、当初の設計の考え方から徐々にずれて、処理の整合性がとれない複雑な状態になっていきます。

何度も修正や機能追加を重ねてきたシステムは、あとから見ても修正した当時の意図が理解できないことも多く、次第にメンテナンスが困難になっていきます。メンテナンスが困難な状態では、万が一トラブルが発生して修正が必要になったときに、誰も対応できなくなってしまいます。

ファイル破損のリスクもある

エクセルで扱うデータ量が増加し、同時に編集する機会が増えると、ファイルが破損するリスクが高まります。

個人のパソコンに保存されたファイルではなく、ネットワーク上で複数人が利用しているファイルなので、破損リスクはさらに高いと考えられます。

エクセルで作成された在庫管理システムは、すべての機能やデータが1つのエクセルファイルに集約されています。そのため、ファイルが破損してしまうと業務に多大な影響が出ます。エクセルの在庫管理にはこうした限界が存在するため、取り扱いには注意が必要です。

最初はエクセルで問題なかったものの、より規模の大きい在庫を管理しなければならないとなったら、別の管理システムを構築するか、メーカーが作成しているシステムの導入をおすすめします。

自作で続けるメリット

デメリットだけ見ると、エクセルでの自作以外の方法を取りたくなるかもしれません。ただし、自作にはいくつかのメリットもあります。

コストを抑えられる

自社でWindowsパソコンを導入していれば、Microsoft社のOffice製品がインストールされており、日常業務で利用されている可能性が高いでしょう。その場合は、すでにパソコンにインストールされているエクセルで在庫管理システムを自作できるため、追加の導入コストがかかりません。

また、エクセルを普段から使用している人であれば、基本的な操作方法を理解しているはずです。

使い慣れたソフトなら導入しやすい

多くの企業ではWindowsパソコンを導入しており、日常業務でエクセルを利用しています。使い慣れたソフトであれば抵抗も少ないため、管理表の導入・運用が現場に定着しやすいのがメリットです。

修正もしやすい

修正が簡単なエクセルを使用した在庫管理システムなら、高度なITスキルがなくても手早く構築できます。

まず試しに作ってみて、使いながら改善していくことも可能です。仕様変更や改修にも高度なスキルは必要ないため、運用しながら課題を見つけ、徐々にブラッシュアップしていけます。

リスクを減らすならシステム導入も要検討

エクセルで在庫管理システムを自作する場合、コストは抑えられるというメリットがある一方でデータ容量や更新性などの無視できないデメリットもあります。こうしたリスクを減らすためには、専用の在庫管理システムを導入することも検討すべきです。

在庫規模やコストも比較したうえでシステムを導入するかどうか。もし導入を決めるのであれば、機能やサポート体制を見て自社に合ったものを選びましょう。

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